アンティーク品
買取日:2023/06/17
買取実績 印籠 黒地塗 蒔絵 お買取りさせて頂き...
買取価格¥13,000円
本日は印籠をお買取りさせて頂きました。
水戸黄門でおなじみ印籠ですが、薬入れ・印判入れとして江戸時代より明治頃まで使用され、特に幕末明治では意匠を凝らした愛玩品としての意味合いが大きかったようです。
日本の匠の技の一つですが、刀の鍔や目貫や煙管など、小さい部分に小宇宙を作り出す能力に秀でています。
印籠も例外なくその小宇宙が存分に凝縮されています。
もともと日本は資源は少なく代わりに水と木は豊富にありますので、新たな資源にて大量に生産するよりも、今ある資源を効率化していく、という方向で生きてきた民族だと思います。
もちろん鉄や陶器は生産可能でしたが、新素材よりも木や紙を使って成形し、漆を幾重にも塗りこむことで通常使用に耐えうる品を発明しました。それが印籠です。
大陸では象嵌にはふんだんに宝石や金銀を入れ込むのでしょうが、資源小国の日本では金銀を大量に使えず、あくまで象嵌はポイントに留まります。
しかしながら漆黒の漆や、その5㎝四方に広がる松と船頭が佇む姿は、さながら1枚の絵画を見ているようです。
足し算にて積み上げるのではなく、引き算にて余白の美学を表現し、その余白を埋めるのは所有者の想像であるというのは、いかにも日本的です。
余談ですが、大陸の人形劇では人形にワイヤーを付けて演者は舞台上から操作します。当然、人形は見えても演者は観客からは見えません。
日本の人形浄瑠璃は舞台に黒子が上がり人形を操作します。当然、観客には人形も黒子も見えます。
しかしながら、観客にとって黒子とは見えるけど見えない存在なのです。物理的には見えても想像上では存在しないのが黒子なのです。
見えるけど見えない。見えないものを見る。さかさまな現象ですが、いずれも日本の美術工芸には必要な価値観です。そしてこれは引き算の美学です。
そんな印籠、お買取りさせて頂きました。
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